物理学を筆頭とする従来の要素還元型の自然科学で取り扱うのが難しい問題がある。そういった問題の一部に対して、複雑系科学をはじめとする非線形科学が有効かもしれない。本書では、カオス理論や複雑系科学によって、これまでの自然科学が上手に取り扱うことができなかった、形やパターンが生まれる仕組みが解き明かされていく様子が描きだされていく。その積み重ねによって、非線形科学の有効性が腑に落ちるように仕掛けられている。本書の内容に魅惑されたなら、スチュアートの他の著作をはじめとした書物に手を伸ばすきっかけを捕まえたといえる。入門書の中の入門書。次の1冊としてはスチュアート「生命に隠された秘密」あたりがオススメ。